2014/02/17皮膚科ちょろい科? その壱

「皮膚科の臨床」という専門誌に「巻頭言」というコーナーがあります。これは大学なら助教授クラス、一般病院なら大学病院・中病院の医長クラスの先生方の、若い皮膚科医への提言という形をとっています。その中に次に紹介する一節がありました。執筆者は宮崎県立医大の助教授です。懇親会の席上で、とある女医さんから声を掛けられたそうです。「先生、皮膚科ってちょろい科ですね。」おそらくその女医さんは自分が声を掛けた人物がどういう立場の人であるのか知らなかったのでしょう。というのは宮崎県立医大皮膚科は、全国で恐らく唯一、重症熱傷患者を皮膚科が主担当科として全面的に治療を行っている所なのです。わたくしも医長として、重症熱傷患者を積極的に受け入れている群馬県の病院に在籍したことがありましたが、重症熱傷患者の管理は困難を極め、そこの病院では輸液管理を内科が、皮膚管理を皮膚科が、手術を形成外科がと分担制になっていました。この例ではこの女医さんがついていなかったということでしょうが、皮膚科がちょろい科だとの認識が生まれた背景と想像してみると、大学の医局に腰掛程度しか在籍しなかった後に開業して、場所が良かったのか、人当たりが良かったのか、美人であったのかして経済的な成功を収めているのでしょう。しかし本当に皮膚科はちょろい科なのでしょうか?

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